現在、日本には約300種類のイネ科の植物があり、その中でも花粉症の原因となっているのは、いずれも明治時代にヨーロッパから入ってきた帰化植物です。
なかでも、花粉症の原因植物として最も代表的なものが、カモガヤです。
カモガヤは、もともと牧草だった多年草ですが、現在では完全に野生化し、全国いたるところの道端、空き地、土手、川原などにカモガヤが雑草として生えています。
カモガヤは、非常に生命力が強く、初夏の頃から花粉を飛散し始めます。
カモガヤのほかには、オオアワガエリ、ホソムギ、ハルガヤなどのイネ科植物による花粉症も知られています。
いずれも身近な雑草となった帰化植物で、全国どこでも見られます。
イネ科の植物は、身近なところに生えているだけに、地域によってはこれによる花粉症が集団発生することもあります。
1974年の初夏、東京都府中市の多摩川に隣接する小学校と中学校で、多くの生徒が鼻水、目のかゆみなど花粉症の症状を訴えたことがありました。
当時は光化学スモッグが疑われたようですが、その日は光化学スモッグの発生はなく、花粉症が疑われ調査が開始されました。
調査によって、学校に隣接する多摩川の河川敷には、カモガヤ、ホソムギなどのイネ科の植物が群生していることが判明。
また、抗体検査を行ったところ、多くの生徒に、カモガヤとホソムギに陽性反応が確認されました。
そして、空中に飛散している花粉の調査でも、イネ科植物の花粉が大量に観測され、イネ科植物の花粉による花粉症であるとの診断が下されたのです。